第5話 小栗と将監の武術くらべ
また、将監はてるてひめ照手姫のことを好きでした。
そこで武術くらべをひらき、その中で小栗を殺し、その騒ぎの中で、横山党をのっとってしまおうとたくらみました。
そうすれば照手姫は将監のお嫁さんになるしかないと考えたのです。
なんと自分勝手な悪い男でしょう。
ところが武術くらべをしてみると、小栗の強いこと、強いこと…。弓矢、剣術などことごとく小栗の勝ちです。
そこで将監は、人食い馬の「鬼鹿毛(おにかげ)」を小栗にさしむけ、食べさせようとしました。
「鬼鹿毛」は人を食べるといわれるほど気性のはげしい荒馬でしたが、小栗は、この「鬼鹿毛」をみごとに乗りこなしてしまいました。
それだけでなく馬に乗ったまま、碁盤の上に立たせるなどの曲芸までやってみせました。
これを見たしょうげん将監は、武術くらべでは、とても小栗を殺せないと観念しました。
でも、悪だくみをあきらめたわけではありません。
もっとひきょうな方法を思いついたのです。