第13話 めぐいあい
一方の小栗は、京の都で横山将監の悪事を暴き横山征伐に向かう途中でした。
小栗は、よく照手姫のことを想っては、笛を吹きました。
偶然に照手姫が奉公している旅籠(はたご)、萬屋の近くにさしかかったのです。
遠くから駆け寄る水しめが照手姫とも気づくはずもなく家来たちは、追い払ってしまいました。照手姫は、以前にえのきのした榎木下で歌った歌を大きな声で歌いました。その歌声に小栗は、おどろきました。
「なんと美しいやさしい声であろう。まさか照手姫が・・・そんなはずはあるまい。今は、将監の妻であろうはず。」と思いましたが、あまりの美しい声に一目会おうと家来に申し付けました。遠くから目にした小栗の姿に照手姫の目からは涙が止まりません。そして、その姿を見た小栗も目から涙が止まりません。